2015年03月15日
今回は,「過失割合」と「症状固定」という言葉についてお話しします。この回からは,保険会社から賠償金を受けとる際に,特に問題となりそうな事項について詳しくお伝えします。
Aさんは保険会社から「今回の事故は過失割合が7:3となります」といわれました。この過失割合というのは,「どちらにどれだけ過失があるか」ということです。Aさんの場合,保険会社は,被害者であるAさんにも30%の過失がありますと言ってきたのです。
過失割合は,受け取ることができる賠償金に直接影響します。たとえば損害額が最終的に1000万円であったとしても,過失割合が「相手側7:Aさん3」
だったとすると,30%も減額されて700万円しか受け取ることができません。これを「過失相殺」といいます。
過失割合については,これまでの裁判例などに基づいて,事故の類型毎に過失の基本割合が決められていて,その上で事故が起きたときの時間や場所,被害者の年齢,速度違反の有無など個々の具体的な事情を修正要素として加味することによって妥当な過失割合を導き出すようになっています。
例えば,四輪車同士の事故で,直進車と右折車がともに青信号で交差点に進入して衝突した場合,基本割合は「直進車20:右折車80」になりますが,右折車がウインカーを出していなかった場合には10%が修正されて,「直進車10:右折車90」になります。また,直進車が制限速度を30km/h以上超過していた場合には20%が修正されて,「直進車40:右折車60」になります。
適正な過失割合は弁護士であればある程度客観的に判断できるものですが,個々の具体的な事情による修正要素をどのように考慮するかという点で保険会社と意見の食い違いが生じてくることがよくあります。そして,過失割合の判断を間違えると,本来は800万円の賠償金を受け取ることができたはずなのに,700万円しか受け取れなかったということもあり得ます。
Aさんの場合は,弁護士が介入したことによって,事故の客観的な状況を説明し,基本の過失割合が「直進車20:右折車80」であること,加害者は徐行もせず(修正要素10%),ウインカーも出さず(修正要素10%)に右折してきたことを主張し,過失割合を「0:100」にすることができました。
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「そろそろ治療費の支払は打ち切り,症状固定です,といわれたのですが……」
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Aさんは,保険会社から「そろそろ症状固定ですので,治療費の支払は打ち切ります」と言われたそうです。
「症状固定」とは,「これ以上治療を継続しても,症状の改善が見込めない状態」をいいます。
被害者の方は,「まだこんなに痛いのに,治療費の支払を打ち切られたら困る」と不満に思うはずです。
なぜ保険会社は,まだ治療を続けているのに「症状固定です」と言ってくるのでしょうか。
それは,交通事故の賠償金額は,この症状固定日によって大きく変わってくるからです。
保険会社は,原則として症状固定日までの治療費や休業損害を支払わなければならないだけでなく,慰謝料も症状固定日までの入通院期間に応じて算定されるので,症状固定日が遅くなり,通院日数が長くなればなるほど,保険会社が支払わなければならなくなる賠償金が高額化してしまうのです。
「一方的に治療費の支払を打ち切るなんて納得がいかない」という不満がよく聞かれるのは,こういった事情を背景としているからです。
そこで,このようなケースでは,まず主治医から本当に「症状固定」なのか,「治療を打ち切るべき時期なのか」という判断をしてもらうべきでしょう。
もしも治療を継続すれば症状が改善する見込みがあるのであれば,「治療が必要」と記載された診断書をもらっておくべきでしょう。
主治医が治療を継続すべきと判断しているにもかかわらず,合理的な理由もないのに保険会社が治療費の支払を一方的に拒否してきた場合には,症状固定前の治療費支払の打ち切りは不当であり,症状固定まで治療費の支払を継続するよう求めていくことが大切です。
それでもまずは症状固定などではなくいち早く痛みから解放されるように治療をしてしっかり治していけるようにしていくのが我々の役目だと考えております。
心身共に健康な状態になっていただけるよう最善の努力をさせていただきますので皆様ご安心してご来院下さいませ。
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